世界人口の増加によって水産資源の需要が増加する一方で、乱獲や気候変動による枯渇が懸念されており、水産養殖の重要性が高まっています。
そこで注目されているのが、養殖魚。
しかし、一般消費者のなかには「養殖された魚」に対して、「病気や寄生虫予防のためにワクチンや抗生物質が投入されていて残薬がないか心配」など、安全性の面で不安を感じる人も少なからずいます。
この記事では、そんなマイナスイメージを払拭する、RG92エキスを用いた養殖魚のブランディングについて解説していきます。
養殖魚は、天然魚に比べて危険?
そもそも養殖魚とは、稚魚のうちから養殖場に入れて、水質や水温、エサなどを人の手によって管理しながら育てた魚のことを指します。
天然魚は、海や川に生息しているところを捕獲した魚のことで、人の手の入らない自然な環境で育った魚を指します。
「養殖魚は人口的で安全性が低く、味も劣っている」
「養殖の魚は残薬性が心配だから食べない」
養殖業で用いられるワクチンは人間の使用している医薬品と同じように薬事法に基づいて承認されていますが、こうしたマイナスイメージはまだまだ根強くあるようです。
一般的な認識として、自然の中で育った天然魚が“良いもの”と思われがちですが、プラスチックごみなどによって海洋汚染が進んでいる現在の海洋環境においては、絶対的に天然魚が安全とは限りません。
東京湾で捕ったカタクチイワシのおよそ8割からマイクロプラスチックが検出されたと報道されたのは記憶に新しいのではないでしょうか。(出典/日本経済新聞)
どんな環境で何を食べて育ったかが把握できる養殖魚の方が、天然魚よりも安全性が高いという意見もあります。
養殖魚と天然魚について、それぞれ私たちが考えなければならない課題があり、一概にどちらが良いかは断言できません。
ただ、人工の環境下で育てられた養殖魚は、自然環境下で育った天然魚と比較すると、まだまだ「格下」扱いされやすい傾向にあります。
昨今こうした養殖魚のマイナスイメージを払拭しようと、様々なブランディングが試みられています。
養殖魚に付加価値をつける<進むブランド化>
かつては「天然魚より格下」というイメージのあった養殖魚ですが、今やその価値観は過去のもの。
昨今ではブランディング化された養殖魚を、養殖業者さんと行政、企業や大学などの研究機関が協力して扱う例が増えています。
たとえば、飼料に柑橘系の果実を混ぜて育てたブリやヒラメなどの「フルーツ魚」は臭みがなく高い鮮度が保てると好評です。
オリーブの葉を加えた餌で育てられた「オリーブハマチ」は、色鮮やかな身としっかり脂が乗りつつ味わい深く、後味さっぱり。健康志向ブームの後押しもあり、高級スーパーや有名な飲食店でも、多く取り扱われています。
養殖魚にも、育成環境やエサなど生産者さんのこだわりが、旨みや風味や歯ごたえ、脂乗りの違いとなって現れます。
「天然物とはまた違った、養殖魚ならではの魅力」をブランド化することによって、
・脂のノリや体の大きさが揃った個体を、安定した価格で供給できる
・何を食べて、どんな環境で育ったのかという情報を消費者が正しく受け取ることができる
・水産養殖業界の安定収入や雇用を生み出す
養殖技術の発展とブランディング化は、消費者にはもちろん、漁業に携わる人にとっても新たな活路になっています。
温泉藻類RG92エキスを食べて育った「温藻ひらめ(フォアグラひらめ)」
大分県別府市に湧出する温泉に生息する微生物(温泉藻類RG92)のエキスを餌に混ぜて与えた<ひらめ>についても、「温藻ひらめ(フォアグラひらめ)」というブランドですでに流通が始まっています。
100%天然由来成分である、温泉藻類RG92エキスを使った魚の養殖は、抗生剤投与やへい死による損失など水産業者が抱える経済的負担を大きく軽減できるとともに、残留薬物の懸念がないことや食味の向上など消費者の安全な食への期待にも応えることができます。
ほかの魚種においても、実証実験において良好な結果をもたらしています。
ぜひ、温藻ブランド化にご興味のある方は、検討されている魚種などお問い合わせください。